
不妊治療の費用が高額になり、家計の負担を感じている方も多いのではないでしょうか。
実は、不妊治療の医療費控除は女性だけでなく、男性不妊の検査や手術にかかった費用も対象になります。
共働き夫婦の場合、収入が高い方で合算して申告すれば、より多くの還付金を受け取れる可能性があります。
本記事では、男性側の対象となる費用や妻と合算する際のルール、具体的な確定申告の手順まで詳しく解説します。
- 不妊治療の医療費控除は男性不妊も対象
- 対象になる費用・ならない費用
- 男性不妊の治療費を実際に合算申告したリアルな結果
- 男性不妊の医療費控除を確定申告する3つのステップ
目次
不妊治療の医療費控除は男性不妊も対象!妻との合算は?

不妊治療にかかる費用は高額になりがちですが、実は男性不妊の治療費や検査費も医療費控除の対象になります。
多くの場合、不妊治療は夫婦単位で取り組むものであり、税制上も双方の費用を合わせて申告することが可能です。
ただし、控除を受けるには一定の条件を満たす必要があり、誰が申告するかによって戻ってくる還付金の額も変わってきます。
ここでは、男性側の費用がどのように扱われるのか、そして夫婦で合算申告する際の基本ルールについて詳しく解説します。
男性側の検査・治療費も原則として控除の対象になる
不妊の原因を調べるための検査費や、男性不妊症と診断された場合の治療費は原則として医療費控除の対象に含まれます。
具体的には、泌尿器科などでの初診料や精液検査、造精機能障害に対する投薬治療費などが該当します。
また、精索静脈瘤の手術やTESE(精巣内精子採取術)といった外科的治療にかかった費用も申告可能です。
治療を目的とした通院費も対象となるため、診察にかかった領収書はすべて確実に保管しておくことが重要となります。
自治体の助成金を受け取っている場合は、その金額を差し引いた実費のみが控除の対象となる点には注意してください。
共働き夫婦はどちらか収入が高い方で合算申告が可能
医療費控除は生計を一にする家族の医療費をまとめて申告できる制度です。
共働き夫婦の場合、妻と夫のどちらが申告しても問題ありません。
一般的には所得税率が高くなる、つまり収入が多い方でまとめて申告した方が還付金が多くなり節税効果が高まります。
例えば、夫の方が年収が高い場合は、妻の婦人科での治療費と夫の泌尿器科での検査費をすべて合算し、夫の口座で還付金を受け取ることが可能です。
申告する際は夫婦それぞれの領収書を合算して計算するため、日頃から家族全員分の医療費の明細を一つのファイルにまとめて管理しておくと確定申告の作業がスムーズに進みます。
男性不妊の医療費控除「対象になる費用・ならない費用」

医療費控除を申告する上で最も迷いやすいのが、どの費用が対象になり、どれが対象外になるかの判断です。
基本的には「医師による診療や治療に直接必要な費用」であるかどうかが基準となります。
不妊治療においては、検査代や手術代といった直接的な医療費だけでなく、通院のための交通費なども対象に含めることが可能です。
ここでは男性不妊の治療に関連する費用について、具体的に対象になるものと対象外になるものをリスト形式で分かりやすく整理して解説します。
対象になる費用
医療費控除として認められる男性側の主な費用は、医師の指示による検査や治療に直接関わるものです。
具体的に申告できる項目を以下にまとめます。
- 泌尿器科での初診料および再診料
- 精液検査や血液検査などの各種検査費用
- 精索静脈瘤やTESEなどの手術費用
- 医師の処方箋により薬局で購入した医薬品代
- 電車やバスなど公共交通機関の通院交通費
電車やバスなどの通院交通費に関しては領収書が出ないため、乗車区間と日付、金額をエクセルや家計簿に記録しておけば申告に利用できます。
ただし、新幹線のグリーン車など、通常の範囲を超える特別な移動費用は全額自己負担となります。
対象外になる費用
一方で、不妊治療に関連していても医療費控除の対象外となる費用も存在します。
主に予防や健康増進を目的としたものや、直接的な治療に該当しない出費です。
具体的な対象外の項目を以下にまとめます。
- マイカー通院時のガソリン代や駐車場代
- 里帰り出産などのための移動費
- 医師の処方がない市販の妊活サプリメント代
- 健康診断などの疾病予防目的の検査費
特にマイカーを利用した際のガソリン代やコインパーキングの料金は交通費として計上できないため注意が必要です。
また、マカや亜鉛などのサプリメントも、医師の処方箋による医薬品ではないため自己負担となります。
【独自検証】男性不妊の治療費を実際に合算申告したリアルな結果

理論上の計算だけでなく、実際にどの程度の金額が戻ってくるのか気になる方も多いです。
今回は、男性側の検査・手術費と妻の体外受精の費用を夫の収入で合算申告したケースを独自に検証しました。
医療費控除の計算式は「実際に支払った医療費の合計額−保険金などで補填される金額−10万円」となり、この金額に所得税率を掛けた分が還付されます。
具体的な費用の内訳と、確定申告の準備段階で気をつけるべき実践的なポイントをシミュレーション結果とともに紹介します。
実際にかかった男性側の費用内訳と還付金のシミュレーション
夫の年収が600万円(所得税率20%)、夫婦の年間医療費が合計80万円(うち助成金等の補填が30万円)だった場合のシミュレーションを行います。
男性側の費用内訳としては、精液検査や通院費などで計5万円が発生したと想定します。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 年間医療費の合計(夫婦合算) | 800,000円 |
| 保険金や助成金での補填額 | 300,000円 |
| 差し引き自己負担額 | 500,000円 |
この場合、50万円から足切り額の10万円を引いた40万円が医療費控除額となります。
夫の所得税率20%を掛けると、8万円が還付金として口座に振り込まれます。
さらに翌年の住民税も安くなるため、大きな節税効果を得ることが可能です。
確定申告の準備作業で失敗しないための実践アドバイス
実際の申告作業をスムーズに進めるためには、事前の準備が明暗を分けます。
最も多い失敗は、領収書の紛失や交通費の記録漏れです。
これを防ぐため、通院のたびに領収書を夫用と妻用に分けず、1つの専用ファイルにまとめて時系列で保管する運用をおすすめします。
また、マイナポータルとe-Taxを連携させておけば、健康保険証を利用して受診した医療費の情報が自動的に集計されるため入力の手間が大幅に省けます。
年明けの確定申告時期は税務署が大変混雑するため、12月に入った段階で1年間の概算を計算し、不足している書類がないか確認作業を完了させておくのが確実です。
男性不妊の医療費控除を確定申告する3つのステップ

医療費控除を受けるためには、会社員であっても年末調整ではなく、自身で確定申告を行う必要があります。
初めての方にとっては手続きが複雑に感じるかもしれませんが、流れを把握してしまえば決して難しくありません。
現在はスマートフォンやパソコンから簡単に申告書を作成し、オンラインで提出できる環境が整っています。
ここでは、領収書の集計から申告書の提出まで、還付金を受け取るための具体的な手順を3つのステップに分けて解説します。
1. 1年間にかかった夫婦の領収書・明細書を集計する
まずは1月1日から12月31日までの1年間に支払った医療費の領収書をすべて集めます。
不妊治療の費用だけでなく、風邪を引いたときの内科受診料や、歯医者での治療費、薬局で購入した市販薬の代金なども夫婦合算の対象です。
領収書を手元に揃えたら、医療機関や薬局ごとに支払った金額を計算してまとめます。
現在は申告書に領収書の原本を添付して提出する必要はありませんが、税務署から求められた場合に提示できるよう、自宅で5年間保管する義務があります。
国税庁が提供しているエクセルの医療費集計フォームを利用して、受診先ごとに金額を整理しておくと次の入力作業が格段に楽になります。
2. 国税庁ホームページで「医療費控除の明細書」を作成する
金額の集計が終わったら、国税庁の「確定申告書等作成コーナー」にアクセスして入力作業を進めます。
画面の案内に従って「医療費控除」の項目を選択し、
- 医療を受けた人の氏名
- 病院名
- 薬局名
- 支払った金額
- 生命保険や助成金などで補填された金額
を入力していきます。
ステップ1で作成したエクセルの医療費集計フォームを利用すれば、データをそのまま読み込ませるだけで自動的に「医療費控除の明細書」が完成します。
また、マイナンバーカードを利用してマイナポータル連携を行えば、健康保険が適用された医療費データが一括で自動入力されるため、計算間違いのリスクを完全に防ぐことができます。
3. e-Taxや郵送などで確定申告書を提出する
明細書の作成と源泉徴収票などの入力が完了したら、申告書を税務署へ提出します。
提出方法には、3つの方法から選ぶことができます。
- e-Taxによる電子申告
- 郵送
- 税務署の窓口へ直接持参
スマートフォンやパソコンからインターネット経由で送信する「e-Tax」、印刷して郵送する方法、税務署の窓口へ直接持参する方法の3つがあります。
圧倒的におすすめなのはe-Taxによる電子申告です。
自宅にいながら24時間いつでも提出できる上、郵送費もかからず、還付金が振り込まれるまでのスピードが通常より早いというメリットがあります。
申告期間は原則として翌年の2月16日から3月15日までですが、還付申告のみであれば翌年の1月1日からいつでも提出が可能です。
まとめ
男性不妊の検査や治療にかかった費用は、妻の不妊治療費と合算して医療費控除の対象にすることが可能です。
共働き夫婦の場合は、収入が高い夫の口座でまとめて申告することで還付金を最大化できます。
交通費などの対象費用をしっかりと把握し、日頃から領収書を整理してe-Taxでスムーズに申告を済ませましょう。
正しい知識を持って確定申告を行うことで、家計の負担を少しでも和らげることができます。








